民泊まだ終わらない
2026-07-02 ・ 再生37分 ・ 読了6分
#142 結局どうなの?強化される民泊規制を深掘り解説!
⚡ この回で得られること
- 住宅宿泊事業法第18条は日数制限しか認めておらず、全面禁止は本来法律上グレー
- 今回の「技術的助言」は国が自治体の動きを追認しただけで、状況に大きな変化はない
- 同居型民泊は多くの自治体で保護されており、過度な心配は不要
- 地方は空き家問題があるため規制強化の動きはほぼ起きていない
- 真面目に営業している民泊への遡及規制は訴訟で争えば勝てる可能性が高い
1. 騒ぎの発端――「実質禁止を容認」とは何か
ニュースの見出しだけで「民泊おわり」と早合点するのは危険。まず言葉の中身を解剖する。
ニュースを見てびっくりしました。「条例による民泊の実質禁止を容認、観光庁が6月中に通知」というタイトルが流れてきて、てつろうさんにリクエストした回です。
民泊コミュニティでも話題になっています。ただ内容が結構ややこしい。「改正容認・実質・住宅地」と単語が並んでいて、ストレートに「もうできなくなる」と受け取っていいのか判断しにくいですよね。
しかも記事には「法的拘束力がない技術的助言として通知することを検討」とある。何を言ってるか分からないでしょう?
2. 住宅宿泊事業法が定める自治体の権限
法律の条文を読めば、自治体にできることの上限が見えてくる。
まず根本の法律から整理しましょう。住宅宿泊事業法では年間180日まで民泊を認めています。では自治体はどこまで介入できるか。第18条にはこう書いてある。「騒音の発生その他生活環境の悪化を防止する必要がある時、区域を定めて営業期間を制限できる」――これだけです。
自治体にできるのは日数制限だけ。全区域で民泊を全面禁止する権限は、この法律上存在しないんです。
「法的拘束力がない技術的助言」というのは要するに、全面禁止は法律上グレーだけど国としてはもう止めません、という宣言です。自治体がすでに動かしている流れを国が今まで「それはできない」と言っていたのをやめた——それだけの話なので、さっぱり大きな変化ではないんですよ。
3. 各自治体の動き――渋谷・北区・京都
都市部の具体的な条例改正を見れば、ターゲットが「不在型」に絞られていることがわかる。
渋谷区では7月1日から第1・第2種住居地域・準住居地域で年間63日しか民泊できなくなります。月5日。ビジネスとして成立させるのはほぼ不可能ですね。
ただし渋谷区は「同一建物内・同一敷地内・隣接地に自分が住んでいれば180日OK」としています。同居型民泊は守られている。制限を受けるのは不在型です。
北区も秋の区議会に条例案が出てくる予定で、ヤ主不在型は「営業不可」とモロに書いてある。本来の法律から見ればグレーですが、国がもうそこに文句を言うのをやめた形です。
京都はさらに厳しく、現状でも1月15日〜3月16日の60日間しか民泊できないのをさらに厳格化しようとしている。京都市長がXで厚生労働省と観光庁へ規制強化を要望したことも投稿していて、「ホテル以外認めたくない」という姿勢が鮮明です。
東京の特別区でも、北区・豊島区・台東区など複数区の区長が連名で国土交通大臣へ「実質禁止させてほしい」という要望書を提出しています。自治体側がロビー活動を続けた結果、国がギブアップした——これが今回の通知の実態です。
4. 地方民泊への影響は?
規制強化を求めているのは誰か。そこを見れば地方への波及リスクが測れる。
地方でやっている人たちへのダメージはあるんでしょうか。
規制強化を強く要望したのは京都と東京です。おそらく地方ではこの動きは起きない。
理由は空き家があるからです。伊勢志摩・南伊豆・長野など色々な場所でホストさんの話を聞いてきましたが、少なくとも東京・京都・大阪以外で民泊規制の話は聞いたことがない。地方は民泊を認めないと空き家問題が解決しないんです。
今回の規制を通して東京や京都は「うちじゃなくて地方でやってくれ」と暗に言っているようにも聞こえます。
住宅宿泊事業法自体、2020年東京オリンピックのホテル不足懸念から2018年に急いで作ったものです。8年経ってオリンピックは終わり、ホテルは建設ラッシュ。インバウンドは前年比で減少に転じ、住居専用地域に民泊を認めた「実験」の害だけが残ってしまったという状況。東京・大阪・京都で民泊を増やす動機はもうどこにもない、というのが正直なところでしょう。
5. 既存の民泊は遡及されるか
「今やっている民泊が突然禁止される」リスクをどう見るか。
今やっている民泊が突然日数ゼロ・営業禁止になるかという点ですが、遡及はほぼありえないと考えています。
突然日数を大幅に減らされた場合、営業権の制約として国に必要性の立証義務が生じます。そこで問われるのが「問題を起こしていたのは本当に届け出済みの民泊なのか」という点です。
実際は迷惑民泊の多くは無届けか旅館業の大型施設で、住居専用地域の小さな民泊は問題を起こしていないケースが大半。無届けに届けを出させることをやらずに条例改正するのであれば必要性は薄い、という議論になる。弁護士に直接確認したところ、そういう状況で訴えれば勝てる可能性が高いとのことでした。
ただし京都のユースケさんが観光局・保健所と交渉したレポートでは「遡及されない可能性は0ではない」とも言っていた。リスクはゼロではないので、自分の自治体で規制強化の動きがある場合は区議に陳情して反対運動を起こすことが大切です。
私も北区の議員に直接陳情しました。まっとうにやっている人たちを規制するのはおかしいと、一人でも多くの賛同者を得ることが遡及を防ぐ現実的な手段です。
6. 民泊文化と今後の展望
悔しさを力に変え、文化として民泊の正しさを訴え続けることが残された道だ。
私も不在型で北区の2件目を昨日保健所に申請してきました。北区が営業禁止になる前に駆け込みで。真面目にやっている不在型の人たちの営業権はもっと認められていいはず。
北区は今4割の家が空き家だと区議会議員さんから聞きました。東京にいてもそうなんです。不在型民泊が増えなければ空き家は増えていく一方なので、2〜3年後にはもう一度、不在型民泊を見直す流れが出てくると思います。
ちゃんと調べずに「民泊はだめ」と騒ぐ人が増えると、うまくやっている人たちまで一緒くたにされてしまう。現場を取材してきた立場として、それが本当に悲しいです。
3年間民泊ガイドラジオをやってきて、民泊でホストもゲストもいかに幸せになってきたかを伝え続けてきた。それが「都市部の生活を脅かす悪者」のように報道される。ものすごく悔しい。
AirBnB Uniteでホストや体験提供者と集まって、民泊文化の正しさをAirBnBの社員さんとも真剣に話していきたいと思っています。今回の通知そのものは大した話じゃないけれど、根本にあるのは「民泊は悪だ」という世の中の流れ。そこに対して訴え続けていくしかない。
🔗 参考リンク
- 問い合わせ/各種情報HPminpaku.yuukipodcast.com/X:https://x.com/minpaku_radioInstag
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