夜に泊まる理由を作れ
2026-06-25 ・ 再生29分 ・ 読了6分
#141_伊勢神宮だけじゃない!三重・志摩エリアでゲストの満足度を底上げするためには?(ゲスト:まさとさん&山口さん②)
⚡ この回で得られること
- 伊勢神宮1日4万人来場の10%を志摩に流せれば毎日4000人の経済波及が生まれる
- 民泊新法の年間180泊上限を突破するには旅館業への切り替えが収益の転換点になる
- 1棟1億円投資・1泊12万円の高単価民泊でも夏の稼働率7〜8割を達成した事例がある
- 大学生など若い層が体験価値に積極的にお金を払うことで地方の高単価民泊が成立する
- 民泊経験者全員が言う共通アドバイスは「まずやってみる」——スモールスタートに失敗はない
1. 空き家も縁も揃っている——あとは動くだけ
地縁・人脈・遊んでいる物件がある。民泊参入を阻む最後の壁は知識の不足でなく、一歩踏み出す決断だ。
島に来る人がリピーターじゃない可能性って結構大きい。地元を案内してくれる人がいれば——ホタルの名所に連れて行くとか、バーベキューをコーディネートしてくれるとか——そこが強みになる。同居型の物件なら、お客さんをケアできる人間がいること自体が競合優位性になりますよね。
地元と観光客のつなぎ手になれれば、同居型物件のポテンシャルをフルに引き出せますよね。
「伊勢神宮から車で40〜50分、星が綺麗で海が見えてバーベキューができる」——それって、そこまで不利な条件じゃないと思うんですけど。
そこまで行けば相当な付加価値になってくると思います。
ゲストのマサトさんには空き家が複数ある。義父の大きな家が近くにあり、別の旧居を知人に貸している物件もある。
使えるものは全部使ったらいいと思っています。誰も住んでいなくて物置にもならないなら、何かしらやった方がいい。 何もしないよりは稼げますから。
自分で運営しなくても、物件を展開したいホストに貸すという選択肢もある。2〜3棟目を探している後輩がいるなら、場所を提供するかたちでの参入もあり得る。
2. 伊勢神宮というエンジン——インバウンドが「喜ばれない」地域事情
1日4万人来場の伊勢神宮が最大のフック。ただし、インバウンドを積極歓迎しない地域事情も実在する。
一番の軸はやはり伊勢神宮です。1日最大4万人の来場者がいる。その人たちを志摩まで引き込む工夫がこれからどんどん必要になってくる。
インバウンドについては独特の事情がある。
伊勢神宮エリアを仕切っている大きな会社がインバウンドをあまり歓迎していない。「日本人だけで採算が取れているのに、わざわざ外国人を入れて街の雰囲気を変える必要はない」という考え方なんです。
私は浅草にいますからよくわかります。昔の浅草と今の浅草は全然違う。フクロウカフェ、猫カフェだらけで、それが浅草なのか、という話になっている。
もう一つの戦略は、田舎ならではの付加価値体験でどれだけ高い宿を作れるかです。ビーチフロントでサウナつき1棟貸し8万円のところを調べたら、「若い子は来ないだろう」と思っていたのに大学生しか来なかった。体験価値に対して若い層はちゃんとお金を払う。
アクセス面の弱点も率直に語られた。
伊勢志摩の最大の弱点は空港がないこと。新幹線の最寄りは名古屋で、そこから近鉄特急でさらに2時間半かかる。 外国人観光客の多くは関西国際空港でレンタカーを借りて、車で4時間かけて来ている。
ただ大局的に見ると、東京・大阪・京都への一極集中から外国人観光客は地方へ分散しています。三重のターンがもう少しで回ってくる感覚はあります。
3. 1泊12万円が証明したこと——高単価民泊の勝ちパターン
近隣に1億円超の投資で1泊12万円・夏7〜8割稼働の民泊がある。その数字が示す可能性とは。
近くに大きなサーフショップを経営している方が4棟やっていて、1棟1泊12万円の高級民泊もあります。大きな鉄板があって料理人を呼べる設計で、ドッグランも完備。新築で建てて、多分1億円以上かけていると思う。
夏の稼働率が7〜8割なら、年間で数千万いきますよ。夢のある世界ですね。
こないだジモティで「民泊OK」の物件を見つけて内見に行ったら、中学校の同級生で。彼は伊勢で賃貸を5〜6件やっていて自分でリフォームに来られない。それで私が運営代行として入り、リフォーム資金は彼が持ち、私がパーセンテージをいただく形で話がまとまりました。
マサトさんが踏み切れない一番の原因は「お客さんが来るかどうか」ですよね。
4. 「夜に泊まる理由」を作る——山口さんの次の一手
雨でもできるBBQスタジオ、スクリーン付き焚き火空間——体験そのものを「施設」にする構想。
両親が近所の方から空き家を譲ってもらったんです。朽ちていくだけで管理ができないということで、いただいたんですが、両親がリフォームして、私が運営代行をする形で進めています。
その物件のRC部分に具体的な計画がある。
どんなに雨が降ってもできる、超高付加価値なBBQスタジオを作ろうと思っています。焼肉屋のような吊り下げダクトを入れれば一酸化炭素中毒にならない。壁を真っ白のスクリーンにして、冬は焚き火に当たりながらNetflixを流せる空間にしたい。
周辺の相場はサウナつきで1棟5万9800円くらい。だいたいそのレンジに落ち着くかなという感じです。
泊まってからアクティビティを選ぶパターンをもっと普及させたい。朝8時からサーフィン体験なら、大阪からだと4時に出てこなきゃいけない。そういう人たちが前泊できる施設として使ってもらえれば、アクティビティ側がフックになってくれる。
5. 伊勢神宮から志摩へ——日帰りを止めるコンテンツ
伊勢神宮来場者の多くが名古屋日帰り。「夜じゃないと楽しめない体験」が彼らを泊まり客に変える。
伊勢志摩が大阪にとっての奈良になってはいけない。日帰りで完結してお金を落とさずに帰ってしまう。
夜じゃないと楽しめないレジャーを創り出すことで伊勢に来る人を止める。グルメ、星空、焚き火、バーベキュー——夜の体験を設計するのがいい戦略。
フックになりうるコンテンツも掘り起こされた。
伊勢神宮に縁のある「天の岩戸」が、実はギリギリ志摩市内にあります。これをフックに使って人を山越えさせ、「せっかく志摩に来たなら」とアクティビティを次々提案していく。
伊勢志摩といえば鰹節。鰹節工場で昔ながらの製法を見学して、自分で作った鰹節を使った料理を食べてお土産に持ち帰る——そのまま体験コンテンツになりますよね。
実家のキッチンスタジオで作って、みんなで食べて持ち帰る——それは面白い体験になりますよね。
伊勢神宮への1日4万人来場者の10%を志摩に引き込めれば、毎日4000人が流れてくる。昔ながらの地元の魚屋さんがどんどんなくなっている——その流れを止めるためにも、観光客に泊まってもらうことが重要。
6. スモールスタートと旅館業という選択肢
「とりあえず始める」が正解。市場調査1つで勝ち筋は見える。そして旅館業への切り替えが収益を変える。
アドバイスをひとつ言うとしたら「まずやってみましょう」ということです。
まずAirBnBに登録して近隣の民泊状況を見てください。競合がなければ独占チャンス。あったらあったで、価格帯・エリア・戦略を研究してから飛び込む。 だいたい突破口は見つかります。
リフォームに1000万かけて客が来なかったらさすがに重たいですが、スモールスタートでいけそうなら、もういっちゃった方がいい。
最初の頃はレビューが3〜4点台のことも多かった。それでも積み上げてこの評価になっています。始めれば積み上げられる。
この物件は民泊新法で取得しているので、AirBnBしか使えていないんですが、年間170泊ほど取れています。今はエアホストを勉強しながら、楽天トラベルへの連携を進めているところです。
そうなんです。次の物件は旅館業で取れているので、民泊新法の制約が外れてOTAをフル活用できる。全部エアホストで一括管理できる体制にして、ガンガンやっていくつもりです。
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