3. 水分補給は「お願い」より「強制」
声をかけても半数は持ってこない。仕組みで補給させるのが正解だ。
注意喚起しても、半分くらいの人は水を持ってこないんですよね。
だから僕のツアーでは、夏になると集合場所をコンビニの近くに設定するんです。集合したらすぐ「ペットボトル持ってますか?」と確認して、持っていない人は強制的に買わせてます。
海外では水を飲む習慣の教育がない国も多くて、水分補給の意識がそもそもないんですよね。
水を飲むというより、コーラやエナジードリンクで水分を取るつもりになってる方も多い。特に男性が水のペットボトルを買うのをためらう傾向がある気がします。
去年、居酒屋ツアーで1軒目から2軒目に歩いて移動している時に、アメリカから来た男性1人が気を失ったんです。仲間4人はずっと水を飲んでいたのに、その1人だけ「いらない」と言って飲まなかった。その状態でビールをガブ飲みしたから、脱水+アルコールで急性アルコール中毒のようになったんだと思います。
それからは、本当に場合によっては僕が水を買って渡すこともあります。
飲みツアーは特にリスクが高いですからね。事前に持っていった方がいいかもしれない、そこまでいくとね。
4. 熱中症が起きたときの対処法
焦らず3ステップ:血管の太い部位を冷やし、経口補水液を飲ませ、必要なら救急車を呼ぶ。
第84回でゲストのガイド・ユリさんに教えてもらいましたが、熱中症になったらまず冷やすこと。冷やす場所は首・脇の下・股関節あたり。血管が太く集まっているところです。
ドラッグストアで売っている、叩いたら急冷するパックが便利です。コンビニの氷を当てるのも有効。僕は実際に気絶したゲストに自販機の冷たい飲み物を5本買って首・脇・股関節に当てて、その後コンビニで氷を買って処置したら元気になりましたよ。
あと、コンビニでも売っている経口補水液が役立ちます。普通の水より体への吸収率が高くて、緊急時に効果的らしいんですよ。
海外ゲストは救急車を呼ぶと高額請求されると思って怖がることがありますが、日本は救急車を呼ぶこと自体は無料です。かかるのは病院での処置費用のみで、全額自己負担でも縫合処置で1〜2万円程度。
僕もアメリカで工事現場で腕の血管を切って救急搬送されたことがあって、その時の請求が6000ドル。現地の人に「安かったね」と言われましたよ。日本の医療費はアメリカの約10分の1です。
ゲストがパニックになっていたら、もうガイドの判断で強制的に呼んじゃうくらいでいい。命に関わることですから。
Airbnb経由のツアーなら、医療費補助をサポートに申請できるはずです。まずいことになった場合は躊躇せずに使いましょう。
5. ガイドが持つべき夏の装備と最終手段
グッズで乗り切るだけでなく、思い切って昼ツアーを休止する選択肢もある。
衣服にシュッとかけると涼しくなる冷感スプレー(シャツクール等)は、外国人ゲストへのネタにもなりますよね。「こういうの日本にあるんだ!」と喜ばれますし、SNSでも取り上げられています。
気になっているのが空調服。ファンが内蔵されて風を循環させる服で、ワークマンでベスト型が手頃な値段で出ています。ガイドが着ていたらネタになるし涼しいし、今年買おうかと。
エアリズム(UNIQLOの吸汗速乾素材)は下着として絶対マストです。これを着ないと汗じみができるし、着るだけでサラッと涼しく感じます。日本人はヒートテックとエアリズムは全員持ってますよね、もはや俳句の季語レベルで。
日焼け止めも必須ですね。持ってないゲストに自分のを貸してあげるくらいでもいい。無印などのスプレータイプなら手軽にサッとかけられます。
サングラスの話も出ましたが、欧米の方は目の色素が薄くて紫外線への耐性が低いので、サングラスが手放せない。「なぜ日本人はサングラスをしないの?」という質問は、会話のネタになりますよ。
そして最終手段として、7月・8月の昼間の新宿ウォーキングツアーは受け付けを止めています。ゲストとスタッフの疲労感と悲鳴を聞いて、これ以上はいかんと判断しました。朝の時間帯にずらそうとしても、デパートやゲームセンターが開いていないのでルートを組めない。だったら夜ツアーにするか、休止するか。
行ってみれば当たり前のことですが、ゲストも僕らホストも、暑さをちょっと舐めているところがある。まず自分たちが熱中症にならないこと。なったときには血管が集まる首・脇・股関節をすぐに冷やせるよう準備しておきましょう。人命には換えられませんから。